ALC外壁の特徴と基礎知識を学んで失敗しない素材選びをしよう


建物づくりでは、外観を左右する外壁材に何を選ぶかがとても重要なポイントです。ガルバリウムやサイディングなど、色々な選択肢がありますが、様々なメリットを併せ持つALCを使いたいと考える方も多いでしょう。今回は、ALC外壁の採用を考えている方のために、ALC外壁のメリット・デメリットをご紹介していきたいと思います。

  1. ALC外壁の基礎知識
  2. ALC外壁の特徴
  3. ALC外壁が破損する原因と補修方法

1.ALC外壁の基礎知識

ALC外壁について、名前だけしか知らない、あるいは、名前も聞いたことがないという方も少なくないでしょう。最初に、ALC外壁とはどんなものか、簡単な概要をお伝えすることから始めたいと思います。一緒に、ALC外壁にはどんな種類があるのかもご紹介しましょう。

1-1.ALC外壁とは

ALCとは「Autoclaved Lightweight aerated Concrete」のイニシャルをとって名付けられた素材の名前です。日本語にすると「高温・高圧の蒸気で養生された軽量気泡コンクリート」というような意味合いになります。

ALCの原料は、セメント・ケイ石・生石灰・アルミニウムなどを混ぜあわせたものです。原料を固めた状態で、180度、10気圧という環境の中で10数時間、蒸気によって養生することで生成されます。その名前が示すとおり「高温・高圧の蒸気で養生」することによって作り出すわけですね。

残る「軽量気泡」は、原料の成分が起こす化学反応によって生み出されます。関係するのは、セメントと消石灰、そしてアルミニウムです。セメントや生石灰は、蒸気の水分と反応してアルカリ性の成分を作り出します。そのアルカリ成分とアルミニウムが反応を起こして生み出されるのが、大量の微小な水素ガスです。

こうした一連の化学反応によって、ALCには大量の軽量気泡が内包されることになります。その大きさはなんと直径0.05~0.1ミクロン。この軽量気泡が、ALC外壁の様々なメリットを生み出すのです。

1-2.耐火建築物用に使われる厚型パネル

ALCは大きく分けて厚型パネルと薄型パネルの2種類に分けられます。厚型パネルとは、厚さ75mm以上のパネルのことです。特に鉄骨造・鉄筋コンクリート造の耐火建築物に使用されます。使用される箇所によってサイズや厚みは異なりますが、一例を挙げると外壁用の厚型パネルの厚みは100~180mm、長さは6000mm以上、幅は2400mm以下です。

厚型パネルには、補強用として防腐処理が施された鉄線が埋め込まれています。

1-3.木造用に使用される薄型パネル

続いて薄型パネルについてご紹介しましょう。薄型パネルは、35~75mmまでの厚さのものです。一般的なサイズは、長さ3000mm以下、幅606mm以下となります。鉄線や溶接金網、メタルラスなどが内部に組み込まれているケースも。そうした素材が補強材としての役割を果たします。

2.ALC外壁の特徴

ALCに関する基本的な知識を学んだところで、ほかの材料と比べてどのような点で優れているのかをご説明しましょう。また、ALCにはメリットばかりでなく、当然デメリットもあります。利点と欠点をそれぞれ知っておくことで、フェアな観点で採用を検討することができるでしょう。

2-1.耐久力があり遮音性が高い

ALCの特徴のひとつである軽量気泡は、様々なメリットを生み出します。たとえば、気泡を含まない従来の素材は、周囲の寒暖差によって膨らんだり、縮んだりしやすいのが弱点のひとつです。一方、ALCに軽量気泡が多く含まれているため、温度変化による変形が起こりにくくなります。そのため、外壁が変形しにくく、長い期間に亘って耐久性を維持することができるのです。

ALCに含まれる気泡は、熱だけでなく振動も和らげてくれます。周囲のうるさい雑音を遮断する防音機能に優れているため、静かな暮らしを手に入れることができるでしょう。

2-2.耐火性・断熱性に優れる

また、気泡を多く含んでいるということは、熱を伝えにくいというメリットもあります。断熱性に優れるため、日常生活では外気の暑さ、寒さに左右されず、快適な生活を過ごすことができるでしょう。災害時には、火災によって建物が燃えるのを防いでくれます。

2-3.防水性が悪いのが欠点

軽量気泡の存在により、ALCは表面に無数の穴があいている「多孔(たこう)構造」と呼ばれる状態です。そのため、雨が降るなどして表面に水分が当たると、簡単に吸収してしまいます。

水分は金属の大敵。水分が内部に浸透すると、固定のために使用している金属ボルトや補強材である鉄線がさびる原因になってしまいます。防水性の低さはALCの代表的なデメリットのひとつだといえるでしょう。

寒冷地などの場合、内部に吸収された水分がそのまま凍結してしまい、体積が増えることで表面がはく離してしまうこともあるので注意が必要です。このような弱点を克服するため、多くの場合、ALC外壁には防水効果のある仕上げ材を表面に塗布します。防水性を高められるかどうかは、表面仕上げの成果にかかっているといえるでしょう。

3.ALC外壁が破損する原因と補修方法

ALC外壁は、吸収した水分の膨張や衝撃などによって破損してしまうことが多くあります。そのため、定期的に劣化・破損した部分を補修しなくてはいけません。この章では、ALC外壁が破損する主な原因と、その補修方法についてご紹介しましょう。

3-1.ボルト部の爆裂と補修

ALCを外壁として使う際は、パネルと建物をボルトによって連結します。そのままでは外から見たときにボルトの頭が丸見えになってしまうので、補修材を使用してボルトが隠れるように処理を行うのが通常のやり方です。しかし、この補修材の穴埋めがうまくいかないと、補修材とパネルとの隙間に水分が浸透してしまうことがあります。染み込んだ水分によってボルトがさびたり、温度変化により内部で膨張、爆裂したりすると、補修材がはがれ、ボルト部がむき出しになってしまうことも。ボルトがむき出しのままになっていると、さらに金属部分の腐食が進行してしまいます。

そのような場合は、爆裂部分を補修しなくてはいけません。一般的なやり方は、まず露出しているボルトのさびを落としてから防腐処理を施し、補修材やセメントではがれた部分を元通りきれいに塗っていきます。

3-2.クラックによる爆裂と補修

クラックとは、地震などの振動によってALCに生じるひび割れのことです。クラックは振動・衝撃のほかに、季節ごとの温度変化によって生じることもあります。ALCなどの建築素材は暑い時期には膨張し、寒い時期には収縮するため、伸び縮みに堪えられなくなった部分がひび割れてしまうことがあるのです。

クラックをそのままにしておくと、内部にある金属でできた補強材がさびてしまい爆裂を起こしてしまいます。補修を行う際は、まずクラックによって生じたもろい部分を取り除かなくてはなりません。もろい部分を取り除いてできた空間には、セメントやシール材を穴埋めして補修します。

3-3.窓枠など、ほかの設備との境目に生じる破損と補修

窓枠や換気扇など、住宅設備との境目は特にALCが破損しやすい箇所です。ALCに直接接している住宅設備の金属部分がさびることで、ALCまで一緒にさびてしまうことがあるので注意しましょう。

そのような場合は、一度原因となった設備を取り外し、防腐処理を施します。ALC側にもシーリング材や樹脂モルタルで補修を行ったあと、元通りに設備を戻せばOKです。

まとめ

今回は、建物の外壁材としてALCの使用を検討している方のために、ALC外壁のメリット・デメリットをご紹介してきました。

  1. ALC外壁の基礎知識
  2. ALC外壁の特徴
  3. ALC外壁が破損する原因と補修方法

素材の特徴を理解し、適した環境で用いることが建物の安全を保つ秘けつです。この記事を読んで「ALCを使ってみたい」と思った方は、ぜひ一度施工業者と相談してみてください。


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