弾性塗装とはどんなもの?どんな外壁に適しているの?


持ち家は、定期的にメンテナンスが必要です。
特に、外壁塗装は劣化をしたまま放っておくと外壁自体がいたんでしまいます。
また、最近の塗料の進化はすばらしく、断熱効果や自分で汚れを落とす塗料なども販売されているのです。
そこで、今回は弾性塗装についてご説明しましょう。
弾性塗装の特徴や弾性塗装が向いている外壁材などを知れば、塗料を選ぶ参考になります。
そろそろ外壁塗装をやり直そうと考えている方は、ぜひこの記事を読んで塗料選びの参考にしてください。

目次

  1. 弾性塗装とはどんなもの?
  2. 弾性塗装はどのような塗り方があるの?
  3. サイディングに弾性塗装を行ってはいけない
  4. 弾性塗装を行いたいと思ったらどうすればいいの?
  5. おわりに

1.弾性塗装とはどんなもの?

まず始めに、弾性塗装の特徴をご紹介します。
普通の塗装と何が違うのでしょうか?

1-1.弾性塗装の特徴とは?

弾性塗装とは、一般的な塗料よりも塗膜(とまく)の厚さが10倍もある、弾性塗料を使った塗装方法です。
塗膜(とまく)が厚いと、塗料がゴムのように伸びます。
ですから、弾力がある塗料ということで「弾性塗料」というのですね。
弾性塗料の基準は、外気温が20度のときに一般の塗料と比べて120%以上の伸び率があること。
また、弾性塗料よりは伸び率が低いけれど、一般の塗料よりも弾力性が高い塗料を「微弾性塗料」といいます。
この塗料の伸び率に基準はありませんが、同じ条件で50%~90%ほどの伸び率があるものが多いです。

1-2.弾性塗装のメリットとは?

弾性塗装は弾力がありますから、よく伸びます。
ですから、外壁の下地にひびが入ったとしても、弾性塗料がすきまを埋めてくれるのです。
外壁にひびが入ると見た目が悪くなるばかりでなく、雨水などが染みこんで劣化の原因になります。
ですから、弾性塗装をすれば見た目がよくなるだけでなく、外壁の寿命も延びるのです。

1-3.弾性塗装のデメリットとは?

弾性塗装は、その多くが塗料に硬化剤を混ぜる2液型です。
1液型のものもありますが、数が少なく取り扱っている工務店もあまりありません。
2液型の塗料は均等に混ぜて弾力性を発揮させるには、経験と技術がいります。
ですから、腕のよい職人がいる工務店に依頼しないと「せっかく弾性塗装にしたのに、今までの塗装との違いが分からない」ということにもなりかねません。
また、通常の塗料は余ったら翌日に使いまわせます。
しかし、2液型の弾性塗料の場合は、硬化剤を混ぜてから6時間~8時間以内に使いきらなくてはならないのです。
そのため、作業の終了時に塗料が余ったらすべて廃棄になります。
ですから、一般的な塗料よりどうしても使用量が多くなり、工賃も上がるのです。

1-4.弾性塗装に適した外壁とは?

弾性塗装は、主にモルタルの外壁に用いられます。
モルタルとは、セメントや生石灰に砂を混ぜた外壁のことで、1980年代までは一般住宅の外壁材として最もよく用いられていました。
しかし、モルタルは乾燥すると収縮してひび割れが起こりやすいのです。
古い住宅の外壁がひび割れているのを、見たことがある方も多いでしょう。
最近の外壁はサイディングなどひび割れしにくい素材が使われていますが、まだまだモルタルの外壁を持つ家は少なくありません。
ですから、「ひび割れを極力防ぎたい」という場合に、弾性塗装が使われるのです。

2.弾性塗装はどのような塗り方があるの?

弾性塗装は、複層と単層という塗り方があります。
複層は、下塗りをした後で中塗りと上塗りをそれぞれ2回ずつくりかえす塗り方です。
この塗り方だと、8年~10年は問題なく持つでしょう。
しかし、塗りを5回くりかえすので手間もお金もかかります。
ですから、一般の住宅で行われることはあまりありません。
単層は中塗りをせず上塗りを2回行う塗り方です。
微弾性塗料も、同じ塗り方で行います。
一般の住宅で弾性塗装をする場合は、この方法で行われることが大半です。
ただし、この方法だと耐久性が下がるのであえて弾性塗装をするメリットが少なくなる、という意見もあります。
よく考えて塗り方を決めましょう。

3.サイディングに弾性塗装を行ってはいけない

現在の外壁は、サイディングが主流になっています。
このサイディングは中に断熱材などが入っているため、真夏になると表面の温度が80度近くになることも珍しくありません。
弾性塗料は粘り気があるため、熱を加えすぎると膨らんでしまうのです。
膨らんだ塗料は見た目が悪いだけでなく、サイディングそのものにダメージを与えます。
また、弾性塗装の最大のメリットである弾力でも、シーリングのひびをカバーできません。
シーリングとは、サイディングの継ぎ目のこと。
パテのような接着剤で継ぎ目を埋めてあるのですが、それが時間とともに劣化してひび割れてくるのです。
ですから、サイディングの外壁に「ぜひ弾性塗装をしましょう」などという業者がきても、絶対に依頼してはいけません。
サイディングに弾性塗装を行ってはいけないことは、塗装業者ならば知っていて当然です。
リフォーム詐欺の可能性もあるので、気をつけましょう。

4.弾性塗装を行いたいと思ったらどうすればいいの?

では最後に、弾性塗装をしてくれる業者の選び方や注意点をご紹介します。
ぜひ参考にしてください。

4-1.弾性塗装を行った実績がある業者を選ぶ

前述したように、弾性塗料は作り方に技術が必要なうえ、粘り気があるので従来の塗料よりきれいに塗るのが難しいです。
ですから、実績のない業者には依頼しない方がよいでしょう。
できればホームページなどに施工例が載っている業者を選んでください。
また、弾性塗料のように塗り方で効果が変わってくる塗料の場合は、塗料を作っている会社が塗り方の講習会を行うこともあります。
ですから、そのような講習会に出席した実績がある工務店もお勧めです。

4-2.安さばかりを売りものにした業者に頼まない

弾性塗装は、普通の塗料を使った外壁塗装よりも高価です。
しかし、中には「この値段で弾性塗装を行えます」と広告を出している業者もいます。
企業の努力で値段が下がるならば、それはすばらしいことでしょう。
しかし、弾性塗料自体の値段も高いので明らかに安すぎる料金を提示する会社は注意してください。
最も手っ取り早く工賃を下げる方法とは、塗料に水を混ぜてかさましすることです。
そうすると、塗料も薄まって塗りやすくなります。
しかし、これでは弾性塗装をする意味がありません。
複数社から見積もりを取り、おおよその相場を把握してから依頼する会社を選びましょう。

5.おわりに

いかがでしたか?
今回は、弾性塗装についていろいろとご紹介しました。
まとめると

  • 弾性塗装は、粘り気のある塗料で行う外壁塗装。
  • 外壁のひび割れを塗料が埋めてくれるので、美観が長持ちする。
  • モルタルの外壁向け塗装であり、サイディングの外壁には行えない。
  • 適正な価格の業者に依頼しよう

ということです。
現在は、一般住宅の弾性塗装は微弾性塗装が一般的。
微弾性塗装は弾性塗装よりも低価格で行えますが、ひび割れがひどい外壁の場合だと、「一般的な塗料よりましかな?」程度の効果しかありません。
モルタルの外壁は乾燥した地域ほどひび割れが発生しやすいです。
ですから、雨が少なく乾燥した地域に建っているモルタルの外壁の家を塗装したい場合は、思いきって弾性塗装を頼んだ方が長持ちするでしょう。
よく工務店と相談して塗料などを決めてください。


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