弾性塗装について知りたい人に!〜弾性塗料の特徴と工法・業者選び〜


建物の外壁塗装に用いられる塗料には、いろいろな種類があります。そろそろ外壁塗装のやり直しをしようかと考えている方にとっては、どのような塗装がいいのか気になるところでしょう。そこで、今回は「弾性塗装」についてご紹介します。

  1. 弾性塗料の特徴とは
  2. 弾性塗料の工法
  3. 弾性塗料を依頼する業者の選び方
  4. まとめ

1.弾性塗料の特徴とは

建物の外壁塗装には、いろいろな種類があります。

その中でも「弾性塗料」とは、外壁のひび割れを補修するときに使用する塗料です。

マンションなどの建築物は、一見頑丈そうに見えます。

けれども、長い年月が経過するとともに、地震や大型車の通行による振動などの影響が現れてくるのです。

特に、通常の塗料を使用している外壁塗装は、振動を繰り返すことによりひび割れが生じます。

そこで、ひび割れが生じやすい場所に、弾力のある弾性塗料を使用して防止・修理をすることが必要になるのです。

1-1.塗料の硬さは3種類

塗料の「硬さ」は大きく分けると以下の3種類になります。

  • 硬質塗料…一般的な塗料のことです。
  • 弾性塗料…外の気温が20度のときに、一般の塗料(硬質塗料)と比べて120%以上の伸び率がある塗料です。JIS規格で定められています。
  • 微弾性塗料…硬質と弾性の中間の塗料です。外の気温が20度のときの伸び率は50〜100%でほどあります。ただし、弾性塗料のようにJIS規格で定められているわけではありません。

1-2.弾性塗料は混ぜて作る

弾性塗料は、ほとんどが使用の際にベースの塗料に「硬化剤」を混ぜて作る「2液型」タイプです。

たとえば、シリコン塗料やフッソ塗料に水性や油性の「硬化剤」を混ぜて弾性機能を持たせた塗料などが弾性塗料の代表として挙げられます。

2液タイプの弾性塗料は、混合する技術や手間が必要です。

また、一度作ったら6〜8時間以内に使いきる必要があります。

1-3.弾性塗料が向いている場所

弾性塗料が向いているのは、モルタルの外壁でしょう。

モルタルとは、セメントや生石灰に砂を混ぜて練り上げた外壁のことで「戦後最も強い外壁」といわれていました。

現在でもモルタルは、コンクリート外壁の仕上げやタイル・レンガなどの「めじ」に使われています。

30〜40年前ころは、一般の住宅の外壁はほとんどがモルタルでした。

モルタルは、乾燥による収縮を繰り返すことによりひび割れが起こりやすいのが難点です。

そこで、モルタル外壁の塗り替えには、ひび割れに強い弾性塗料が必要になります。

1-4.弾性塗料のメリット・デメリット

  • メリット…弾力があり、よく伸びることが最大のメリットです。外壁の下地にひびが入っても、弾性塗料ならピタッと隙間(すきま)を埋めてくれます。また、外壁にひびが入っていると見た目の印象が悪いだけではなく、雨水や土汚れなどが隙間から染み込み建物自体の劣化が進んでしまうのです。弾性塗料を使用することによって、建物を守ることができます。
  • デメリット…2液型は混ぜ方に技術を要するので、経験のある職人がいる会社に依頼する必要があるのです。また、硬化剤を混ぜてから6〜8時間以内に使いきる必要があるので材料費も工賃も割高になります。

2.弾性塗料の工法

弾性塗料は、どのような工法を用いるのでしょうか。

弾性塗料を使うときの工法は主に3種類あります。

  • 複層弾性塗料仕上げ工法
  • 単層弾性塗料仕上げ工法
  • 微弾性塗料+上塗り仕上げ工法

以上の3種類で、弾性力の高さは「複層」→「単層」→「微弾性」の順番になります。

それぞれ、具体的にはどのような工法なのがご紹介しましょう。

2-1.複層弾性塗料仕上げ工法

一番弾性力のある複層弾性塗料仕上げ工法は、5つの工程を経て行われます。

  • シーラー(下塗り)
  • 高弾性の中塗り塗料(1回目)
  • 高弾性の中塗り塗料(2回目)
  • 上塗り塗料(1回目)
  • 上塗り塗料(2回目)

上記のように5回の工程で仕上げます。

ていねいに塗り重ねて仕上げるので、弾力性が高く平均8〜10年は長持ちするといわれているのです。

上塗りの塗料は、ウレタン・シリコン・フッソなど好みのものを選べるのも魅力でしょう。

ただし、材料費・人件費ともに費用は高額になり、時間もかかります。

2-2.単層弾性塗料仕上げ工法

  • シーラー(下塗り)
  • 上塗り塗料(1回目)
  • 上塗り塗料(2回目)

単層弾性塗料工法は、上記のように3工程で仕上げる工法です。

上塗りを2回繰り返すことで厚みを出すために、ひび割れに対する強度は高くなります。

ただし、5工程重ねる複層弾性塗料仕上げと比較すると、弾性が落ちるのは否めません。

また、粘度の高い単層弾性塗料を簡単に塗るためや、材料費を浮かすために、水で薄めてかさましをする業者もいます。

業者を決めるときには、複数の業者に見積もりを依頼し比較してみましょう。

料金の安い説明がなく、極端に料金が安過ぎる業者の場合は要注意です。

2-3.微弾性塗料+上塗り仕上げ工法

下塗りにシーラーを用いず、微弾性フィラーという下塗り材を用いる工法です。

シーラーとフィラーの違いは…

  • シーラー…一般的に使用されている下塗り材です。密度が高く水性と溶剤があるのですが、有害物質の発生が少ない水性のほうが主に使用されています。使用する壁の状態によって「薄膜タイプ」と「厚膜タイプ」の使い分けをするのです。
  • フィラー…フィラーは、壁などのクラックを埋めて下地を強化するときに使用します。最近では製品が進化し、密着性が高く下地強化ができるフィラーが増えました。

微弾性塗料+上塗り仕上げ工法は、外壁→微弾性フィラー→上塗り(2回)で仕上げます。

微弾性フィラーは粘度が高いので、細かいひび割れなどを埋められるのです。

ただし、複層弾性塗料ほど強度はもたないでしょう。

3.弾性塗料を依頼する業者の選び方

弾性塗料を使用して外壁塗装をするとき、どのような業者を選べばよいのでしょうか。

3-1.実績のある外装塗装業者を選ぼう

1の項でもご説明したように、弾性塗料は、ほとんどが使用の際にベースの塗料に硬化剤を混ぜる2液タイプになっています。

粘り気が強いので、塗料の混ぜ方や塗り方などが難しくキャリアや腕が必要とされるのです。

外壁塗装や補修などを専門に行っていて、実績のある業者に依頼をするほうがおすすめでしょう。

3-2.安さだけで選ばない

弾性塗装は、通常の塗料を使用した外壁と塗装よりも材料代も工賃も高くなります。

「なぜ他社よりも安いのか?」という理由が明確ではなく、ただ激安だけをうたう業者には気をつけてください。

無料相談や見積もりに応じてくれる業者に複数見積もりを依頼し、比較検討してから依頼するようにしましょう。

4.まとめ

いかがでしたか?

建物の外壁塗装で使用する弾性塗料について知りたいと思っている方に向けて、必要な情報をまとめてみました。

  1. 弾性塗料の特徴とは
  2. 弾性塗料の工法
  3. 弾性塗料を依頼する業者の選び方

弾性塗料の工法には種類があり、工程も金額も異なります。

最近では、工程が少なく比較的安い微弾性塗装が人気のようです。

しかしながら、外壁のひび割れ具合によってはあまり効果が得られないこともあります。

しっかりとした仕上げを求め、さらに建物を長持ちしたいのであれば、複層弾性塗料仕上げ工法が一番おすすめでしょう。

外壁塗装を依頼するときには、外壁の劣化の度合いや年数、建物がある地域の気候など総合的に考え、どれが一番向いているかを考えてください。

無料で外壁塗装に関する相談に乗ってくれたり、質問に答えてくれたりするような信頼できる業者を選びましょう。

プロのアドバイスを聞きながら、じっくり相談してから決めてくださいね。


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