遮熱塗料の種類や効果とは?補助金制度を利用して費用負担を減らそう


省エネ住宅が注目を浴び、エコロジーを意識した設計を取り入れる方が増えています。今ある家のメンテナンスをきっかけに遮熱塗料導入を検討する方もいるでしょう。
遮熱塗料は近年急速に関心が高まり、外壁塗装に遮熱・断熱効果のあるものを使い、1年中快適な環境を作ろうとするものです。
外壁塗料にはさまざまな種類がありますが、遮熱塗料は次世代塗料に分類されています。導入する前に特徴や効果、施工することで得られるメリットとデメリットを知っておくようにしましょう。

  1. 遮熱塗料の種類
  2. 遮熱塗料の効果
  3. 遮熱塗料のメリット・デメリット
  4. まとめ

1.遮熱塗料の種類

遮熱塗料は、外壁や屋根にあたる太陽光を反射して表面温度を下げ、室内の温度上昇を止める働きを持っています。本来なら外壁や屋根から直接とおり抜けて室内に太陽光を浴びることで侵入する熱から、遮熱塗料を使うことで熱伝導を遮断する作用があるのです。
室内の熱を逃がさないように作用する断熱塗料とは異なるもの。遮熱塗料の種類をご紹介します。

1-1.アドグリーンコート

アドグリーンコートは、日本中央研究所株式会社が手がけている塗料です。JIS規格に適合した塗料で、排熱能力が高いので熱を効率よく下げます。
室内に熱が上昇するのを防ぎ、省エネ・節電効果が得られるのです。20%の光熱費削減に貢献する塗料だとされています。平滑がある薄い塗膜の仕上がりは美しく、防汚・耐久性にも優れているのが特徴です。
世界で広く認知されている塗料であり、シンガポールや台湾でもグリーンマークを取得、日本国内ではエコマーク認定が得られています。環境に配慮した塗料として名高いのは、アドグリーンコートでしょう。

1-2.クールサーム

NASAが開発した塗料の1つで、株式会社大高商会が販売しているクールサームがあります。遮熱と断熱の両方の効果が得られる次世代塗料です。
NASAが開発した4つのセラミックが、可視光・紫外線・近赤外線による熱伝導を抑え、塗料が熱を吸収して室内温度上昇を防ぎます。
40%の光熱費削減に貢献し、施工時にかかった費用は浮いた光熱費で計算すると3年半で償却できる事例もあるのです。クールサームを施工した面と未施工面を比較すると、表面温度に30℃の差が出るほど高い遮熱・断熱効果があることがわかります。
NASAによる試験結果では不燃性・比較的無毒であることが確認され、米国農務省の食品安全衛生部による認定を受けた安全性の高い塗料です。

1-3.パラサーモ

日本特殊塗料株式会社から発売されているパラサーモは、4つのシリーズを展開しています。

  • 弱溶剤NAD系屋根用のパラサーモ
  • シリコン樹脂を使った屋根用水性パラサーモ
  • 高耐候性と光沢性を加えた弱溶剤シリコン樹脂屋根用塗料パラサーモシリコン
  • 中空バルーンを配合した遮熱・遮音に優れたパラサーモシールド

外壁にも使えるパラサーモシリコン外壁用は、高耐候性と光沢性を備えた弱溶剤シリコン樹脂塗料です。高い遮熱性と省エネ効果があるとされています。

1-4.ガイナ

ガイナは、株式会社日進産業から発売されている遮熱・断熱塗料です。日本の宇宙開発を手がけるJAXAが導入している、ロケット先端部の遮熱技術を応用した塗料。
従来の断熱技術から1歩進化した特殊な断熱効果を持っています。断熱のほかに、遮熱・防音・防露・防汚効果があるのが特徴です。
中空セラミックビーズ80%・アクリルシリコン樹脂20%を組み合わせた特殊水性塗料で、セラミックが強固に敷き詰められた塗膜になっています。紫外線の影響も少ない塗料です。

2.遮熱塗料の効果

太陽光を遮断し、室内温度上昇を食い止める遮熱塗料。省エネと環境への配慮から導入されるケースが増えています。実際にはどのような効果があるのか、具体的に見ていきましょう。

2-1.原理

遮熱塗料の原理は、建物が太陽光を浴びて表面温度が上昇するのを防ぎ、建物内に熱伝導を大幅カットするようになっています。
近赤外線は太陽光の57%を占めており、いかに近赤外線を遮断するかで室内温度上昇を食い止めるかというポイントになるもの。太陽光反射率が高い塗料ほど、熱吸収が少ないとされています。太陽光から熱エネルギー変換も少なくて済むのです。

2-2.比較

遮熱と断熱の違いをご存じですか?混同して捉(とら)えている方も多いでしょう。
遮熱は太陽光の大部分を占める近赤外線を塗膜で反射し、室内への熱伝導を低減するもの。近赤外線反射に効果的な特殊顔料を用いた塗料が一般的です。
一方、断熱は遮熱効果も兼ね備えており、室内への熱伝導を防ぐとともに、室内の熱が逃げるのを防ぐ効果もあります。冬は暖かく、夏は涼しくといった年間をとおした快適性を求める場合は、遮熱と断熱を同時に行うべきです。

2-3.ガラスには遮熱が必要

断熱は透明なガラスには向きません。光がガラスをとおって侵入するため、遮熱施工が効果的です。快適な環境を作り出すためには、床・外壁・天井には断熱と遮熱を併用し、ガラスには遮熱で夏の日差しを遮る工夫をするといいでしょう。

3.遮熱塗料のメリット・デメリット

遮熱塗料のメリットを知ると同時に、デメリットを知っておくことはとても大切です。補助金など、気になるポイントをまとめてみましょう。

3-1.効果を発揮するのは夏

遮熱の効果を高く感じるのは、直射日光が厳しい夏です。建物が太陽光を浴びることで熱を吸収し、温度が上昇するのを塗料で防ぎます。
また、冬は遮熱効果が邪魔をして、太陽光による暖かさが感じにくくなるデメリットもあるでしょう。冬の快適性を考えるなら、断熱と一緒に施工を考えるべきです。

3-2.補助金制度

エコロジー住宅が注目される背景には、ヒートアイランド現象やCO2の増加問題などがあります。自治体によって異なりますが、省エネ住宅へリフォームする際に補助金を給付する制度があるため、施工時には積極的に活用していきましょう。
対象となるのは、遮熱塗料工事・断熱工事などです。年間をとおした快適性を考えるなら、遮熱断熱同時に行いたいもの。補助金額は、塗装面積によって変わりますので、自治体に確認しておきましょう。一般的なシリコン塗料より、わずかな費用増加で済むメリットもあります。

3-3.耐用年数

ほとんどの塗料で耐用年数は15〜20年とされています。施工業者によって耐用年数に差が出ることがありませんが、多くの方が実際には想定していた耐用年数より短く感じているのです。
理由として挙げられるのは、外壁や屋根の劣化。遮熱塗料を塗る前に下地処理をいかに丁寧に行うかで、大きな差が生まれるのです。傷みがある状態のまま塗装せず、下地を新築時に近い状態に復元してから塗装することが大切。
下地処理しだいで、塗装の耐用年数も変わってくるので注意してください。

4.まとめ

遮熱塗料についてご紹介しました。

  • 遮熱塗料の種類
  • 遮熱塗料の効果
  • 遮熱塗料のメリット・デメリット

遮熱塗料は、太陽光の57%を占める近赤外線を遮断する効果のある塗膜により、室内温度上昇を抑えるもの。夏に効果を実感できる塗料です。年間をとおした快適性を求める場合には、室内温度を逃がさない断熱も同時に行うようにしましょう。
自治体によって異なりますが、遮熱・断熱工事には補助金を給付する制度があります。上手に活用することで、費用負担を軽減できるはずです。


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