外壁の修理って必要なの? 知らないと損する、外壁補修のアレコレ!


10年、20年と住んでいると、家はだんだんと傷んできます。中でも、日光や雨風にさらされている外壁というのは特に顕著です。しかし、外壁は普段意識しない場所なので、劣化していてもあまり気にしない人がほとんどでしょう。そのため、ひどい状態になっていても放置されがちです。そこで、今回は外壁の補修・修理について中心にご紹介していきます。

  1. 外壁の補修・修理について
  2. 外壁の種類と補修について
  3. 外壁補修の方法について
  4. 外壁の補修を頼むために
  5. 外壁補修にまつわるよくある質問

この記事を読むことで、外壁の補修・修理にまつわる基礎知識を得ることができます。補修業者を選ぶ際のポイントなども紹介しているので、ぜひ最後までお付き合いください。

1.外壁の補修・修理について

1-1.何のためにするのか

建物の外壁や塗装は雨や風・地震など、さまざまな要因によって損傷・劣化します。その状態のまま放置していると、どんどんと建物の強度が下がっていってしまうのです。たとえば、ヒビをそのままにしておけば、そこから雨が浸入して木材を腐らせたり鉄筋をサビさせたりするでしょう。塗装が剝がれていても同じです。塗装のない部分は雨風に野ざらしになりますから、放置をすれば壁材がダメージを受けていきます。そして、ダメージを受けた家は当然のことながらもろくなりますから、大きな地震が来れば倒壊するリスクも出てくるでしょう。

どこか他人事のように思っている方もいらっしゃると思いますが、日本ではいつどこで大地震が起きてもおかしくはありません。日本は世界全体で発生する地震の約20%を占めているほどの地震大国です。しかも、気象庁の発表しているデータによれば、5年に1回の頻度でM8.0以上の地震が発生しています。「その日」が来たとき、対策をしていないで後悔するのは自分であり家族です。家を守るため、ひいては自分たちの命を守るためにも、外壁の補修はとても大切といえます。

1-2.外壁補修のタイミングについて

外壁補修のタイミングは、一般的に年数で考えます。つまり、最後に外壁補修をしてからどのぐらいなのか、ということです。10年ほどの単位で補修するのが一般的でしょう。しかし、外壁に使われている塗料は種類によって寿命が大きく変わってきます。そのため、使われている塗料によって3~5年で補修が必要な場合もあれば、15~20年ほどは補修をしなくてもいい場合もあるでしょう。

また、年数に関わりなく、震度5以上の大きな地震被害にあった直後には補修を行うのをおすすめします。震度5程度でしたら家の倒壊はあまりありませんが、外壁などに大きなダメージを負うからです。

1-3.一戸建てと集合住宅の違い

一戸建ての場合は家主の判断で自由に補修を行えますが、マンションやアパートなどの集合住宅では建物を他人で共有しているためそうも行きません。そのため、普通はお金を積み立てて、あらかじめ決められていたタイミングで補修工事を行うでしょう。また、マンションなどの大きな集合住宅の場合は、この修繕工事を「大規模修繕工事」と呼び、委員会などを設置して計画や進行などを行います。

2.外壁の種類と補修について

2-1.外壁の種類ってどんなのがあるの?

外壁材は大きく分けて5種類あります。それぞれに特徴やメリット・デメリットがあるので、覚えておきましょう。

2-1-1.サイディング

サイディングと板状をした外壁材の総称で「窯業系(ようぎょうけい)」「金属系」の2種類に大別されます。窯業系(ようぎょうけい)サイディングは、セメントや繊維質を主原料として作成されたサイディングです。金属系サイディングは発砲系樹脂断熱材で覆われた鉄やアルミニウムなどの板材をさします。

サイディングは耐久性・耐火性・断熱性が高いにもかかわらず施工費が安価なのが特徴です。しかも、工場で画一的に生産されるため、品質にばらつきがありません。

2-1-2.ALC(軽量気泡コンクリート)

ALCは正式名称を「autoclaved light weight concrete(軽量気泡コンクリート)」といいます。その名の通り内部に小さな気泡ができているコンクリートパネルです。コンクリートなので耐火性や耐久性に優れています。また、ALCは内部に空洞がたくさんあるため、従来のコンクリートに比べて軽量であるのも特徴です。ただし、初期費用が高く、塗料も一定以上の性能を求められるのがデメリットとなります。

2-1-3.タイル

タイルは粘土と砂利を主原料にして焼き固めて作られた壁材のことをいいます。材料が粘土と砂利ので、耐久性・耐火性が高いのが特徴です。また、表面がツルツルとしているため汚れにくいという特性もあります。ただし、タイルは素材に粘りがないのでもろいのがネックです。地震などが起きると、ひび割れるリスクが高いでしょう。

2-1-4.モルタル

砂とセメントと水を混ぜ合わせて作られた壁材をモルタルといいます。素材自体は特に優れた特徴を持ちません。しかし、塗って形成する性質上、デザインの自由が利くのが大きなメリットです。ただし、強度は低いので、地震などが起きると容易にひび割れが発生します。そのため、最近はあまり人気がありません。

2-1-5.土塗り

主に粘土と土、ワラすさを原料として作られる外壁を土塗りといいます。昔はよく使われていた壁材ですが、藁(わら)が含まれているため日に弱く、最近はほとんど使われなくなりました。また、耐久性も低く、地震などが起きるとヒビが容易に発生します。

2-2.補修が必要な外壁とは?

壁が劣化してきた症状が見受けられたら、近いうちに補修をする必要があります。劣化症状を押さえていきましょう。

2-2-1.ひび割れ(クラック)

ひび割れは最も基本的な劣化の見分け方でしょう。ヒビが入っていれば劣化しているサインです。ひび割れはその幅で重症度がわかります。環境にもよりますが、ひび割れの幅が0.2ミリ以上あると、防水性や耐久性の観点から補修が推奨されるでしょう。

2-2-2.チョーキング

チョーキングはサイディングやモルタルの壁材が劣化すると発生する現象で、黒板などに使うチョークのように表面が粉状になってしまいます。壁を擦って指に粉がつけばチョーキングが発生していると見て間違いありません。5~10年ほどで発生し始めるので、サイディングやモルタルの壁材を使用している際には確認してみてください。

2-2-3.カビや苔(こけ)の付着

一見、タダ表面にこびりついているだけだから大丈夫のように見えますが、実はそうではありません。テレビのカビ取り洗剤のCMを思い出してください。「ゴムパッキンの奥まで根を張った頑固なカビを~」というようなセリフに聞き覚えがあるはずです。そう、カビや苔(こけ)というのは表面に張り付いているように見えて、実はその奥にまで根を張っています。そして、その根にまで水を吸い込むのです。となれば、当然内部にまで水が浸透することになるので、劣化してしまいます。

2-3.外壁の種類別、よくある症状

2-3-1.サイディング

主に窯業系サイディングですが、チョーキングやクラックがよく発生する症状です。また、金属系サイディングの場合には、サビが浮き出てくることがあります。

2-3-2.ALC(軽量気泡コンクリート)

ALC(軽量気泡コンクリート)に関しては、ひび割れが最も一般的な劣化症状です。また、化学的侵食などが起きると変色が発生します。黒ずんだような色をし始めたら劣化のサインです。

2-3-3.タイル

タイルもひび割れが最も多い症状です。

2-3-4.モルタル

モルタルに多い症状は、チョーキングとひび割れです。

2-3-5.土塗り

土塗りの代表的な症状もひび割れです。

2-4.どのぐらいの期間、年数で補修が必要になるか?

壁材の強度や使われている塗料にもよります。たとえば、寿命の長い光触媒塗料などをALCに使っていれば、20年程度は補修をしなくても問題はありません。しかし、ALCでも寿命が短いウレタン塗料などを使えば、3~5年ほどで補修が必要となってくるでしょう。

3.外壁補修の方法について

3-1.外壁別の補修方法について

サイディングやALC、モルタル、土塗りなどは、基本的に補修が必要な部分に補修材を充填する方法となります。タイルに関しては、補修が必要な部分のタイルをとりはずし、新たにタイルを貼り付ける方法がとられるでしょう。

3-2.目的別の補修方法について

3-2-1.補修を安く押さえるのが目的の場合

ホームセンターなどでひび割れ用の充填剤を購入すれば、自分でひび割れを治すことができます。また、塗料も市販されていますので、自分で購入して塗り直すことが可能です。材料費だけしかかからないので費用を安く抑えることができます。水漏れ対策ぐらいであれば、自分でやっても問題はないでしょう。ただし、なれていないとあまりきれいな仕上げにはなりません。特に、ひび割れの補修に関しては中途半端になっては効果が薄いので、できればプロに頼むのをおすすめします。

3-2-2.確実性を目的とする場合

確実性を目的とするのであれば、プロに頼むのが一番です。業務用の機械や充填剤、塗料などを使用するので確実性が高くなります。また、知識も技術もありますから、仕上がりも良くなるでしょう。また、プロならではの補修方法を依頼することができるのも強みです。たとえば、モルタルなどの塗り壁なら、コテや刷毛(はけ)などで模様をつけることができます。

4.外壁の補修を頼むために

4-1.業者の選び方

業者を選ぶ際に重要なのは信頼できる業者かどうかです。そのため、以下の3点に気をつけて、信頼できる業者かどうかを判断しましょう。

4-1-1.実績はどの程度なのか

真っ先に確認すべきなのは実績です。ホームページなどから、施工例などを確認して実績を確認しておきましょう。施工例をホームページに載せている業者は、自分の仕事に自信を持っている証なので、信頼できます。

4-1-2.創業からどれぐらいたっているのか

創業からどれぐらいたっているかも重要です。長く続けられているということは、それだけ多くの顧客を持っていることの証明になります。そのため、長く続いている業者の信頼度は高くなるでしょう。10年~15年以上は続いている業者を選ぶのをおすすめします。

4-1-3.見積もりは正確に出してくれるか

時々、見積もりを大ざっぱにしか出してくれない業者があります。そのような業者は、後から理由をつけて値段を釣り上げてくることがあるのです。そのため、見積もりをしっかりと提示してくれない業者は避ける必要があります。逆説的に、しっかりと細かな見積もりを出してくれる業者は一定の信頼が置けるというわけですね。

4-2.工事の流れ

  1. 家の調査、および診断
  2. 診断結果をもとにした見積もり提示
  3. 契約
  4. 近隣への事情説明
  5. 足場の組み立て
  6. 洗浄機などによる外壁の洗浄
  7. 壁の下地補修
  8. 軒裏天井の塗装
  9. 下塗り
  10. 中塗り
  11. 仕上げ塗り
  12. お客様による仕上がりの確認
  13. 各所の直し作業
  14. 足場の撤去
  15. 清掃
  16. 工事完了

上記の流れはあくまで一例です。業者などによってはこの流れも変わってきます。たとえば、無足場工法を用いている業者であれば、足場の組み立てが行われません。

4-3.工事期間

足場を組むか組まないかなどによっても変わってきますが、一般的には1週間~2週間程度で完了します。ただし、部分的な補修であれば、1日で終わる場合もあるでしょう。

4-4.費用とコストを抑える工夫について

4-4-1.無足場工法を使う

すでに軽く触れましたが、無足場工法というものがあります。この無足場工法は、足場を設置しないため、その分だけ費用を安く抑えることが可能です。ちなみに、工事代金全体に占める足場代の値段は、なんと2割にもおよびます。つまり、100万円の費用がかかる場合は、そのうち20万円が足場代なのです。これを浮かすことができるのは大きいでしょう。

4-4-2.保険を利用する

あまり知られていませんが、実は保険の契約内容によっては外壁の補修や修理も対象になっているのです。たとえば、火災保険は火災に対してしかお金は降りないように思いますが、実は台風や突風で外壁などが損傷した場合はお金が下りることがあります。

4-5.悪徳業者に注意しよう

多くの業者が職人気質の真面目な業者ですが、中には悪徳業者もいるのが実情です。悪徳業者は、使用する塗料を通常よりも多く薄めて塗料代を浮かしたり、壁材を見積もりのものとは別の安いものにすり替えていたりすることがあります。また、見積もりでは安くできるようなことをいっていたにもかかわらず、後からアレコレと理由をつけて値段を高くするような悪徳商法を行う業者もいるようです。悪徳業者に引っかからないように気をつけましょう。

5.外壁補修にまつわるよくある質問

5-1.隣の家との距離が非常に近いのですが、補修は可能なのですか?

業者の工法や技術力などによっても変わってきますが、家と家の間に30~50センチメーターほどの隙間があれば、補修は可能です。

5-2.おすすめの外壁塗料はありますか?

外壁に使われる塗料には、大きく分けて「アクリル系塗料」「ウレタン系塗料」「シリコン系塗料」「フッ素系塗料」「遮熱系塗料」「光触媒系塗料」の6種類があります。アクリル系塗料が最も寿命が短く、光触媒系塗料の方になるほど長寿命です。ですから、寿命だけで考えれば光触媒系の塗料を使用するのをおすすめします。ただし、その分単価が高いので注意してくださいね。また、性能を考えるのであれば、遮熱系塗料が優秀です。遮熱系塗料を使うと太陽の光を反射するため、熱に強くなります。そのため、夏場などには家の中を快適にしてくれるのです。たとえば、遮熱塗料の代表格であるガイナを外壁に使用すると、体感温度が10℃下がるとされています。

5-3.補修はどの季節に行うのがいいのでしょうか?

基本的には、雨のない時期に行うのが良いとされています。雨が少ない時期といえば、冬から春にかけて、となるでしょう。そのため、今この時期こそ、補修に向いているといえます。

5-4.外壁補修の相場はどのぐらいですか?

クラックの補修だけであれば、3~20万円が相場といわれています。ただし、クラックの補修だけではなく、外壁の塗装も行うとなるとさらに50万~200万円程度のお金が加算されるでしょう。また、外壁自体を取り替える場合は、150万~300万円が相場です。ただし、場合によっては火災保険や地震保険などからお金が下りることがあります。一見関係なさそうでもお金が下りることがあるので、試しに聞いてみてくださいね。

5-5.工事中に洗濯物を干せますか?

業者側も配慮はしてくれますが、状況によっては干せないこともあります。たとえば、外壁塗料を塗っている間は臭いがついたり塗料が付着したりするリスクがあるので避けるのが普通です。

5-6.工事中に外出は可能ですか?

中には入りませんので、外出は可能です。ただし、工事の最初と最後、また仕上がりの確認などは依頼主が立ち会う必要があります。

まとめ

今回は外壁の補修・修理にまつわる記事をご紹介しました。建物の外壁というのは、風や雨、日光などによって日々劣化し続けているのです。劣化するとひび割れなどが発生し、内部に雨水が浸入してしまいます。そして、内部に浸入した雨水は、木材や鉄筋などをもろくさせてしまうのです。それは結果として建物自体の強度を落とすということにほかなりません。地震大国の日本ではいつ大地震が起きてもおかしくありませんから、できるだけ早急に補修・修理を行うことが重要なのです。補修は簡単なものであれば3~50万円程度ですが、規模が大きくなると300万円ほどまで膨らむことがあります。費用を安く抑える方法としては、無足場工法が効果的です。無足場工法を導入している業者を選ぶと良いでしょう。また、自然災害による損傷の場合、火災保険や地震保険などからお金が下りることがありますので確認してみてください。いかがでしたか? 今回の記事を参考にして、しっかり外壁の補修・修理を行いましょう。


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