外壁塗装の塗料にはどんな種類がある? 選び方の基準やポイントは?
「外壁塗装にどの塗料を使えばいいのか分からない」「塗料にはどんな種類や特徴があるの?」など、外壁塗装の塗料選びで悩んでいる方は多いでしょう。塗料にはそれぞれ特徴があるため、その違いをきちんと把握することが大切です。効果だけでなく、耐用年数や費用も大きく変わります。
本記事では、そんな塗料の特徴や選び方などについて解説しましょう。
この記事を読むことで、外壁塗装に使う塗料の特徴や選び方が分かります。悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
1.外壁塗装の塗料の種類
外壁塗装に使う塗料には、どのような種類があるのでしょうか。主な種類となるアクリル・ウレタン・シリコン・フッ素・そのほかについて説明します。
1-1.1番グレードが低く、耐用年数が短い「アクリル系塗料」
さまざまな種類の塗料がありますが、中でも1番グレードが低く耐用年数が短いのがアクリル系塗料です。そのため、今はあまり使われていません。低価格で費用を抑えることができる点が大きなメリットではありますが、耐用年数が短いので頻繁に塗り替える必要があります。外壁塗装は定期的に塗り替えることが必要となるため、その点もきちんと考えて選ばなければなりません。価格帯は1㎡あたり単価が1,000円前後です。
1-2.耐用年数は約10年と長持ちする「ウレタン塗料」
ウレタン塗料の耐用年数は約8~10年とアクリル系よりも長い傾向があります。外壁塗装に使われますが、現在はベランダの防水工事に使われるケースがほとんどです。また、価格も比較的やすく、アクリル系塗料と同じで定期的な塗り替えが必要となります。以前はよく使われていましたが、次に紹介するシリコン系塗料が登場してからはあまり使われなくなっているのが現状です。価格帯は1㎡あたり単価2,000円前後となります。
1-3.現在最も使用されているのが「シリコン系塗料」
現在、最も使われている外壁塗装の塗料がシリコン系塗料です。シリコン系塗料は、価格と機能のバランスが優れている塗料で、コストパフォーマンスも抜群というメリットがあります。費用対効果に優れていることから、価格を抑えて長持ちさせたい方におすすめです。耐用年数は約8~15年で、1㎡あたりは3,000円前後となります。
1-4.水・汚れ・紫外線にも強い頑丈な「フッ素系塗料」
フッ素系塗料は、今まで紹介してきた塗料の中でも最上位クラスの種類です。塗膜全体が硬く光沢が出るという大きな特徴があります。また、水・汚れ・紫外線にも強い頑丈な塗料となっており、耐用年数は約15~20年と比較的長めです。定期的な塗り替えの頻度を少なくしたい・メンテナンスが面倒と感じている方には最適な種類と言えるでしょう。ただし、費用が1㎡あたり単価が4,000円前後と高く、ひび割れが起きやすいという点がデメリットです。
1-5.最近注目されている「特殊塗料」
最近、注目されているのが特殊塗料と呼ばれるものです。たとえば、遮熱・断熱塗料、無機塗料・セラミック塗料などがあります。それぞれの特徴は以下のとおりです。
- 遮熱・断熱塗料:太陽や気温による熱が防げる塗料。遮熱塗料は紫外線を反射させ、断熱塗料は熱自体を塗料の中に閉じ込めることができる
- 無機塗料:無機物でできている塗料。燃えにくく光沢を長時間保ち続ける性質がある
- セラミック塗料:石のような硬い成分が配合された塗料。大理石など石材のように仕上げることができ、デザイン性のある塗装ができる
2.外壁塗装の塗料の選び方は?
では、たくさんある外壁塗装の塗料の中から、どの種類を選べばいいのでしょうか。選び方のポイントを解説します。
2-1.塗料の耐用年数と相場から考える
前述したように、塗料の種類によって耐用年数と価格帯が異なります。あらかじめ決めた予算と比べながら、耐用年数もチェックすることが大切です。耐用年数が少なくなるほど塗り替え頻度が多くなり、その分費用もかかってしまいます。なお、塗料の耐用年数と価格帯を以下にまとめたので、ぜひ参考にしてください。
- アクリル:耐用年数 約3~5年/価格帯 5,000~15,000円(1缶あたり約18リットル)
- ウレタン:耐用年数 約8~10年/価格帯 5,000~20,000円(1缶あたり)
- シリコン:耐用年数 約8~15年/価格帯 15,000~40,000円(1缶あたり)
- フッ素:耐用年数 約15〜20年/価格帯 50,000~100,000円(1缶あたり)
- 特殊塗料:耐用年数 約15年/価格帯 50,000~120,000円(1缶あたり)
2-2.塗料の性能にも注目しよう!
塗料を選ぶ際、価格帯と耐用年数だけに注目しがちですが、性能もしっかりチェックすることが大切です。塗料の性能には、主に、遮熱性・防水性・防汚性・防カビ性などがあります。それぞれの特徴をしっかりとチェックしておきましょう。
- 遮熱性:温度上昇の原因となる赤外線を反射することで、温度上昇を抑えることができる
- 防水性:雨水が建物内部に浸入することを防ぐ性能
- 防汚性:汚れの付着を防ぐ働きがあり、雨水で汚れを洗い流すセルフクリーニング性能を持ち合わせたものもある
- 防カビ性:カビ・細菌・藻類の発生を抑える性能
- 防錆性:サビの発生を抑える性能
2-3.油性塗料と水性塗料の違いをチェック!
外壁塗装の塗料は大きく分けると、油性と水性の2種類に分けることができます。この2つの違いは、水と溶剤どちらが入っているかどうかです。水が入っている塗料を水性塗料、溶剤が入っている塗料を油性塗料(溶剤系塗料)と言います。どちらも性能的には同じですが、独特な塗料の臭いが少ないのは水性塗料です。特に、外壁に使用する塗料は、臭いが窓から室内に入り込みやすくなります。そのため、臭いが心配・不安な方は油性ではなく水性のほうがおすすめです。
2-4.塗料メーカーの知名度も押さえておきたいポイント
塗料を選ぶにあたり、塗料メーカーの特徴や違いもチェックすることが大切です。ただ、「大手だから安心」「聞いたことがない塗料だからダメ」と言い切らないようにしてください。中には、聞いたことがない中小メーカーの塗料でも、ある性能に特化した塗料では業界一というケースがあります。メーカーの知名度はもちろん、なぜこの塗料がいいのか、どのような特徴があるのか知ることが大切です。下記に、主な塗料メーカーの一部を紹介するので、ぜひ参考にしてください。
- エスケー化研
- 日本ペイント
- 関西ペイント
- アステックペイントジャパン
- 日進産業
- 水谷ペイント
- 菊水化学工業
3.外壁塗装を行う際の注意点
ここでは、外壁塗装を行う際の注意点を解説します。
3-1.できるだけ外壁塗装の実績や塗料の知識に富んだ業者を選ぶ
外壁塗装は、工事を行う業者の腕にかかっていると言われています。そのため、業者によって仕上がりが異なるケースがあるのです。なるべく、外壁塗装の実績や塗料の知識に富んだ業者を選んでください。実績がある業者ほど、ホームページ等に施工事例を掲載しています。また、どのような質問にも丁寧かつ分かりやすく説明してくれるので安心です。さらに、現場調査をきちんと行い、状況や要望・予算に合わせた塗料を提案してくれるでしょう。親身になって話を聞いてくれるかも要チェックです。
3-2.安すぎる塗料を選ぶのはNG!?
費用を抑えるために、できるだけ安価な塗料を選ぶ方は多いでしょう。けれども、価格が安い塗料は、決してお得ではありません。前述した耐用年数と価格帯をチェックしてみると分かるように、安価なアクリルやウレタン系塗料を使えば1回の塗り替え時にかかる費用を抑えることは可能です。けれども、耐用年数が短いので塗り替え頻度が多くなり、そのたびに費用がかかってしまいます。また、安すぎる塗料はすぐに劣化しやすい点がデメリットです。そのことを踏まえると、あまりおすすめできません。
3-3.費用を抑えるコツは定期的に塗り替えること
外壁塗装の費用を抑えるコツは、定期的に塗り替えることです。外壁は定期的に塗り替えることで寿命が長くなり、キレイな状態を維持し続けることができます。つまり、塗り替えるたびに頑丈かつ美しい外観を手に入れることができるのです。逆に、塗り替えを行わなければ、劣化しやすくなり、もろく汚れがひどい状態になってしまいます。そうなると、塗装費用だけでなく、補修費用がかかる可能性があるので高額になりやすいのです。
3-4.定期的な点検と併せて塗り替えるのが理想
どのような塗料でも10年経過すれば、色あせや汚れが目立ち始めます。外壁は一般的に10年サイクルで定期点検を行うことになりますが、その際に塗料の塗り替えも同時に済ませるのが理想です。定期的な点検と一緒に塗り替えることができれば、同時に業者に依頼できるので費用も節約できるでしょう。ただし、塗料の種類によっては、もっと短いサイクルでの点検が必要になることもあるため、塗料ごとの耐用年数を知ることが大切です。
4.外壁塗装に関してよくある質問
外壁塗装に関する質問を5つピックアップしてみました。
Q.外壁を塗り替えるべきサインは?
A.一般的に、外壁を塗り替えるタイミングは築10年が目安だと言われています。けれども、立地や塗料によっては、もっと早めに塗り替えを行ったほうがいいケースもあるのです。以下に、外壁を塗り替えるべきサインの一例を参考として紹介します。
- 外壁の色あせが目立つ
- 外壁を触ったときに白い粉がつく(チョーキング現象)
- 塗膜の膨れや剝離が起こっている
- ひび割れ(クラック)が発生している
- シーリング材の塗膜の剝がれ・ひび割れが起きている
上記の中でも、特にひび割れが起きている場合は複数箇所で発生している可能性があります。素人では分かりにくいひび割れもあるため、プロの業者に外壁調査を依頼してください。
Q.塗料選びでよくある失敗例と注意点は?
A.よくある失敗例は、色選びです。塗料は製品によって選べる色が異なります。「こんな色にしたいな」と思っていても、選べないケースがあるので事前に理想の色が選べるか確認してください。契約前の見積もりの段階で、塗料の色をチェックすることが大切です。また、実際に見た色と外壁に施した際の色の印象が変わる可能性もあります。できれば、実際に施工された色を確認してください。
Q.外壁材と塗料の相性は考慮すべきか?
A.考慮したほうがいいでしょう。なぜなら、外壁材によっては使えない塗料もあるからです。ゴツゴツしたようなモルタル外壁の場合は、防水性能が低いので防水塗料を使用して表面を塗装すれば雨水の浸入が防げるでしょう。デザイン性が高いサイディング外壁の場合は、デザインや模様を長く保ち続けることができるクリヤー塗料がおすすめです。金属系サイディングの場合は、防錆塗料との相性が良いでしょう。
Q.外壁を長持ちさせてくれる塗料は?
A.お金をかけてでもできるだけ長持ちさせたい場合は、耐用年数が長いフッ素系塗料または無機塗料がおすすめです。これらの塗料はカビや藻の繁殖を防ぐことができ、熱や水に強い特徴があります。ほかの塗料と比較しても、塗り替えの頻度を減らすことができるでしょう。ただし、塗装をする外壁材によって相性があるため、経験豊富な業者に相談してみてください。要望を聞きながら、適切な塗料をピックアップしてくれるでしょう。
まとめ
外壁塗装に使われる塗料は、アクリル・ウレタン・シリコン・フッ素などさまざまな種類があります。それぞれ特徴や耐用年数・価格帯が異なるため、比較しながら選ぶのがポイントです。また、塗料にどんな効果を求めるのか明確にしておくと選びやすくなるでしょう。素人ではなかなか判断しにくいところがあるため、業者と話し合いながら決めるのも大切なポイントです。外壁塗装の実績がある業者ほど、親身になって話を聞いてくれるでしょう。