鉄筋の腐食とは? 補修方法や外壁のリフォームについて知ろう!


鉄筋の腐食は、鉄筋コンクリート建築物の劣化原因の1つです。腐食を放置すると、強度と耐久性が低下してしまいます。鉄筋は永久的なものではないため、定期的に劣化状況を点検し、修繕することが大切です。しかし、コンクリートの外壁が気になっていても、どのように点検し修繕していいのか分からない方は多いでしょう。

本記事では、鉄筋の腐食状態を調べる方法などを解説します。

  1. まずは鉄筋の特徴を知ろう
  2. 鉄筋の腐食とコンクリートの劣化
  3. 鉄筋の腐食・検査・点検方法は?
  4. 鉄筋の腐食対策ポイントは?
  5. コンクリートの外壁補修とリフォーム方法
  6. 鉄筋の腐食に関してよくある質問

この記事を読むことで、鉄筋の腐食を防ぐポイントも分かります。コンクリートの劣化が気になる方は、ぜひチェックしてください。

1.まずは鉄筋の特徴を知ろう

まずは、鉄筋の特徴を知るところから始めましょう。劣化原因や対策なども理解しやすくなるはずです。

1-1.鉄筋は鉄の棒状になっているもの

鉄筋は「鉄」という漢字がついているので、硬くて厚いものと思われがちですが、鉄の棒状になっているものが鉄筋です。よく工事現場や作業場で、棒状になった鉄の束を見たことがある人もいるでしょう。まさに、それが鉄筋で、細いものから太いものまで約12種類の太さがあります。1番細い鉄筋(直径10mm)は、手でも簡単に曲がるしなやかなものです。長さ4mで約2kgと女性でも気軽に持つことができます。

1-2.建築物の骨となる部分

鉄筋は、普段目にすることはありませんが、建物の骨となる重要な部分を構成しています。人間に例えると、骨が丈夫でないと体を支えることはできませんよね。コンクリートの中にある鉄筋は、人間の骨と同じ役割を担っており、しっかりとコンクリートを支えているのです。鉄筋はいろんな形状に加工できます。鉄筋を加工して、柱と梁(はり)・基礎の部分・階段に使われることもあるのです。

1-3.鉄骨との違いは軽量鉄骨・重量鉄骨の有無

鉄筋と鉄骨は全く違うものです。鉄骨には、軽量鉄骨と重量鉄骨の2種類があり、建物を支える柱や梁そのものを太さのある鉄材(鉄骨)で構成します。一方、鉄筋は直径数cmの棒状の鉄束で型を構成し、その型にコンクリートを流し込み「鉄筋コンクリート」にし、柱や梁・壁として利用する方法です。同じ鉄でも、鉄筋は防音性に優れ、鉄骨はコストの削減ができるでしょう。

鉄筋は建物の骨となる部分に使われる建築素材なんですね。
はい。鉄筋は防音性に優れています。

2.鉄筋の腐食とコンクリートの劣化

ここでは、鉄筋が腐食する原因とコンクリートの劣化について解説します。

2-1.鉄筋がむき出しになっている状態は危険

コンクリートの中から、鉄筋が見えたりむき出しになったりしていませんか? もし、そのような状態になっている場合は、鉄筋が腐食している可能性があります。基本的に、鉄筋はコンクリートの中に隠れている状態なので、目で直接見ることはできません。自分の目で確かめられる状態=異変が起きている証拠です。

2-2.腐食にも過程・グレードがある

鉄筋の腐食は、サビ・塩害・中性化の3種類で、それぞれ腐敗の進行具合が異なります。

2-2-1.サビの場合

鉄筋の腐食は、ひび割れから進行が始まります。鉄筋周辺のコンクリートがpH11以下になるとサビが発生しやすくなり、どんどんコンクリートがもろくなっては崩れていき、中にある鉄筋が見えるようになるのです。特に、海辺や融雪剤をまくことが多い東北地方では、サビによる劣化が進行しやすくなるでしょう。

2-2-2.塩害の場合

塩害の場合は、劣化過程を潜伏期→進展期→加速期→劣化期の4つに分けることができます。

  • 潜伏期:コンクリート中の鋼材の塩化物イオン量が腐食発生限界濃度に達するまでの期間
  • 進展期:鋼材の腐食開始から、腐食ひび割れ発生までの期間
  • 加速期:腐食ひび割れにより、腐食速度が速くなる期間
  • 劣化期:腐食量の増加によって、対荷力の低下が顕著に現れる期間

2-2-3.中性化の場合

硬化したコンクリートが空気中の炭酸ガスなどの影響を受けると、徐々にアルカリ性が低下し中性化します。コンクリートのpHが11以下になると、鉄筋の腐食が速まるので要注意です。コンクリートの中性化も、潜伏期→進展期→加速期→劣化期の4つに分けることができます。塩害ではサビのように茶色くなりますが、中性化の場合はコンクリートの剝がれが目立つでしょう。

2-3.腐食の原因は酸素と水分

コンクリートの中にある鉄筋が腐食するのは、内部に酸素と水分が入り込んだからです。腐食は、水または酸素の両方が存在しないと起こりません。たとえば、外壁のひび割れを放置したことで、そこから雨水と酸素が入り込み、コンクリート内部の腐食を起こします。コンクリートには塩化物が含まれているため、水と酸素に触れると化学反応を起こし、腐食が起こるというわけです。つまり、酸素と水分を入り込ませないようにすれば問題ありません。

2-4.腐食によるコンクリートの劣化

鉄筋の腐食は、同時にコンクリートをどんどん劣化させていきます。腐食だけでなく、コンクリート工事の施工が悪かったり、原材料が悪化したりしていると、劣化スピードが速くなるでしょう。コンクリートが劣化する→すき間ができる(ひび割れが起きる)→腐食が進むという悪循環に陥ってしまうのです。

2-5.放置するとコンクリート建造物がもろくなる

コンクリートでできた建物は木造よりも頑丈であることは間違いありませんが、コンクリートの劣化や鉄筋の腐食を放置すると、どんどんもろくなります。ボロボロとコンクリートが剝がれていき、鉄筋はむき出し状態になってしまうでしょう。コンクリートの劣化スピードは速いため、素早く対処する必要があります。建物の耐久性を維持し続けるためには、修繕と定期的なメンテナンスが必要です。

鉄筋がむき出しになっていると、腐食やさびが発生しやすくなるんですね。
はい。鉄筋だけでなくコンクリートにまで腐食が広がることもあります。

3.鉄筋の腐食・検査・点検方法は?

それでは、鉄筋の腐食状態を調べるには、どのような方法があるのでしょうか。検査と点検方法についても解説します。

3-1.目視・打音・ひび割れ調査など幅広い

鉄筋が腐食しているかどうかは、さまざまな調査結果から判断することになります。主な調査方法は、目視・打音、ひび割れ調査の2つです。直接、コンクリート表面を確認し、簡単な器具などを使って腐食を把握します。ハンマーでたたき、浮きや剝離がないかどうかも確かめるでしょう。また、クラックスケールによって、ひび割れを測定します。

3-2.構造物の強度を調べるコア採取

コンクリート建造物の強度を、より具体的に調べる方法としては「コア採取」と呼ばれる方法があります。コア採取とは、コアドリルに冷水を供給しながら穿孔(せんこう)する方法です。深部(コア)にあるコンクリートを採取し、状態や強度を調べます。また、圧力強度試験や中性化試験を実施することもあるでしょう。

3-3.内部の鉄筋状況が把握できる電磁波レーダ法

コンクリートの中にある鉄筋は、直接目で確かめることができないため、電磁波レーダを使う点検方法があります。電磁波レーダを用いることで、コンクリート表面から鉄筋の位置を確かめられるのです。この方法なら、コアを採取せずとも鉄筋の状況が確認できるでしょう。

鉄筋の腐食を検査する方法は複数あるんですね。
はい。費用や精度が異なるので、よく検討して選択しましょう。

4.鉄筋の腐食対策ポイントは?

では、鉄筋の腐食を防ぐ対策ポイントを解説します。

4-1.劣化防止効果が期待できる材料を使う

コンクリートの劣化防止・鉄筋の腐食対策となる材料を使う方法があります。たとえば、浸透性吸水防止材は、塩害・凍害・アルカリ骨材反応等の対策に効果が期待できるでしょう。クリーム状のタイプなら、施工もしやすく、塗布後は無色透明になるので建造物の外観を損ねる心配もありません。ほかにも、鉄筋に接続するだけで防錆効果がある陽極材や、少量で優れた剝落防止性能を発揮する材料もあります。

4-2.コンクリート中から腐食因子をなくす

腐食を抑えるためには、コンクリートの中から腐食因子をなくすことが1番です。すでに、水と酸素が含まれている場合は、それらをすべて取り除く必要があります。腐敗因子をなくした上で、再度入り込まないようにきちんとひび割れを補修しましょう。ひび割れの放置は、雨水と酸素の侵入につながり、どんどんコンクリートを腐敗させてしまうので注意してくださいね。

腐食対策はいくつものポイントがあるんですね。
はい。覚えておきましょう。

5.コンクリートの外壁補修とリフォーム方法

コンクリートの外壁補修とリフォームのポイントを解説します。

5-1.コンクリートのひび割れを補修する

前述したとおり、コンクリートの外壁補修はひび割れを埋めることです。既存のコンクリートの上から塗装したり、既存のコンクリートを除去し新しいコンクリートを入れる方法があります。外壁の補修は、状態によって異なるため、まずはリフォーム業者へ相談しましょう。素人では判断しづらいので、業者に相談し調査を依頼することをおすすめします。

5-2.業者選びのポイントをチェック!

リフォーム業者の中には、きちんと施工せずに高額な料金を請求するという悪徳業者が存在しています。優良業者と悪徳業者を見極めるため、以下のポイントに注目してください。

  • コンクリートの補修に実績があるか
  • スタッフの対応が丁寧でスピーディーか
  • 無料見積もり・無料相談を受けつけているか
  • 見積書の内容が細かく記載されているか
  • 口コミ・評判がいいか

特に、外壁補修・リフォームの実績があるかチェックしてください。実績がある業者は、外壁調査後、適切な方法を詳しく説明してくれます。

コンクリートの外壁補修やリフォームにも複数の方法があるんですね。
はい。業者とよく相談して行いましょう。

6.鉄筋の腐食に関してよくある質問

鉄筋の腐食に関する質問を5つピックアップしてみました。

Q.鉄筋鉄骨コンクリート造とは?
A.名前のとおり、鉄骨と鉄筋が組み合わさった建築構造です。鉄筋コンクリートの芯部に、鉄骨を内蔵しコンクリートを補強するため、しなやかさと強度が増します。建設コストが高くなりますが、鉄筋コンクリート構造よりも耐震性に優れているので、10階建て以上の高層マンションやビルに使用されることがほとんどです。

Q.施工直後のひび割れを防ぐ方法は?
A.施工直後、コンクリートの表面が乾燥しないように、ビニールなどで覆う方法があります。ひび割れを防ぐ対策を行うように、業者に確認しておきましょう。

Q.凍害とは?
A.コンクリートの中に含まれていた水が凍結しては温度変化で溶けるというくり返しで、ひび割れが起こることを指しています。昼夜で温度差が激しい地域でよく見られる現象です。一次的には表面にひび割れが発生しますが、二次的に浸水し中性化が進みます。三次的には鉄筋を侵食することになるでしょう。

Q.コンクリート補修の費用はいくらぐらい?
A.外壁やコンクリートの状態によって異なりますが、ひび割れ1箇所あたり約1万〜2万円が目安です。ただし、あくまで目安となるため、具体的な見積もりに関しては、業者へ無料見積もりを依頼してください。

Q.費用を抑えるポイントは?
A.足場をかけない外壁補修がおすすめです。足場代は全体の費用の約3割を占めているといわれています。そのため、足場代をカットすれば、ある程度の節約ができるでしょう。オフィスチャンプでは、足場代をかけない施工に力を入れているので、ぜひチェックしてください。

まとめ

鉄筋コンクリートは頑丈なイメージが強いかもしれませんが、サビ・塩害などの影響で腐食が進み、ひび割れや剝がれを起こすことがあります。腐食が進むと耐久性が下がり、台風や地震に弱い状態となってしまうでしょう。なるべく早めに対処し、腐食が進行しないように対策を施す必要があります。対策は早いほうが費用も抑えることができるので、コンクリート建築物の補修などを行う業者へ相談してください。


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